性的、インモラルな表現・描写を含みます。


アア、嗚呼アンタ男前だよ男前だね部屋に入って来たときからずっとアタシそう思ってたよでもアンタはアタシに指一本触れやしなかったコンチキショウ、今アタシは泡吹きながらベッドにだらだら涎垂らしてアンタを見てる、アンタは見られてることにも気付いちゃいないねアア嗚呼ホント腹たつくらい男前だ朝陽がブラインドから射してアンタの顔に縞を作る、クソッ、アンタどうしてそう綺麗なんだ、アタシのアソコに少しくらい突っ込んでくれてもよかったじゃないか。他の男のペニスなんてお呼びじゃなかったんだよアタシアンタが部屋に入って来たときから、でも見向きもしなかった、知らねえオトコとキスするくらいでさ。  アンタはブラインドを指で押さえて眩しそうに外を覗くと不意にタンスを降りて歩いて、トんじまって倒れてるオンナやオトコを跨いで越してガラステーブルの前に座った。いい胸だねえ固そうであったかそうで広い胸、アタシ抱かれてみたかったよどんな風に抱くんだよアンタは、長く整った指でテーブルの上に載ったマリファナを摘んで、口に銜える。マッチで火を点ける。 「そこの女、」おや、アタシのことかい? 「ブッ飛んでねえか?」  すっとベッドに座った別の男が、コイツはパウロって言ってセコいヤローだこんなクソ汚ねえ部屋に女も男も無尽蔵に呼んでコカ炊いてさ、そんでヤるんだ、使いモンになんなくなったら適当なとこに売ってさ、クソだ、でもコイツんちに来ればタダでヤク打てっからさみんな来んだよそいえばアンタは何にも手ぇ出さなかったね、頭イーね。パウロはアタシの髪を掴んで顔を擡げさせたアタシは白目剥いてたよ多分ね。多分。 「アーこりゃイッちまってんな」 「助かんの? それ。何ヤらせたんだ」 「Sだったかね」 「趣味悪ィ、——」  形のいい唇と唇の隙間に重たい白い煙が溜まってんのが分かるアアそれ吸いたいなあ吸わせてほしいなァ、横顔がたいそうキレイで王子様だねアンタ王子様の顔してんだねなんでこんなとこいるんだい、アンタの裸の胸に金色の十字架が下がっててそれがアタシの目を射る。眩しいッ、眩しい。 「お前だぁれも抱かなかったな、イーグル」 「次その名前で呼びやがったらテメェのケツを塞いでやる」 「へーへー。しかしなんでだ? マシなのも居たろ」 「どいつもこいつもキマッてる。俺の体も見えちゃいねえのとヤッたところでそそらねえ」 「草吸いながら言うなよ」 「どうせ効かねェからいいんだよ。俺は」  そうだよねえそうだよアンタは草なんか吸ったってどうにもなりゃしねえだろうよ好きだなァ好きだ抱いてほしいなァ、アタシ確かにラリッてたけどアンタが綺麗なことはわかるよホントだよわかるよすごく綺麗だ、よく鍛えてあるカラダ、嗚呼、そのカラダに組み敷かれて貫かれたらどんな気分? アンタの腹や背や胸の筋肉をなぞって臍に舌入れたいなァきっとアンタのカラダは全部固くて強いんだろ? 好きだなァ。パウロのアレなんか緩くてたまんないよ勘弁してくれ、ラリッてなくちゃ耐えらんないよ。 「シャワー浴びて帰るぜ」アンタは、そう言って喫いかけの草を放り投げると立ち上がった。 「悪ぃが今壊れててなあ、冷水しか出ねえ」 「は? 稼いでんだろ、別の部屋借りろよ」 「いやァ稼ぎなんざ微々たるもんさね、まあいいだろ? 眠気覚ましにゃ」 「そのオンナどうすんだ」 「気になんのか。お前にやるぜ」 「病院連れてけよ」 「ジョーダン。どーせマトモに戻りゃしねー、このままハメる用に置いとくさ」  アンタはアタシの目の前を興味なげに通り過ぎて、でもふと、一歩だけ戻ってきた、そんでアタシの髪を掴んでアタシの顔を見た。いやだ、今アタシ酷い顔だよねえ、これでも昔はパパやママからかわいいかわいいって言われてさ中坊の頃は告白だって二度や三度はされたんだよアタシ結構イケてたんだホントだよそりゃあアンタには遠く及ばないだろうけどせめてもっとイケてたときにアンタに会いたかったな、王子様。  アンタは指でアタシの口を、拭ってくれた。涎と泡とをさ。どうせ拭ってもらったってまた止め処なく垂れてくるんだ、でもアンタの指優しかった、×××じゃなかったけどアタシのカラダのどっかをそれで撫でてくれたならもうイイよ、もうイイ、ね、

ドアが閉まる音がして、そんでアタシの人生も終わり。


2017年3月19日にTumblrにて発表。